設立趣旨

戦史に関する事象を研究する――つまり、それは戦争にまつわる研究をすることである。

 

現代日本において、多くの人は「戦争」という単語には少なからずの拒否感を覚える。それは当然のことだ。我が国は身を持って戦火の片鱗を味わっている。

 

我々は平和を欲する。また、我が国が資源を輸入し、製品を輸出する体制を保つ限り平和は必要不可欠な存在である。円滑な通商は平和という前提がなければ成り立たない。

 

しかし、平和は語句美麗を並べても訪れない。平和とは自ら努力し、創り出していくものである。そして、日本の平和を構築できる存在は日本国の主権者たる国民以外にない。

 

それ故に、我々日本国民はコインの表裏である平和と戦争について考えなければならない。戦争という側面を理解しなければ平和を成し遂げることはできない。

 

だが残念なことに、現在の国民は日本国の主権者であるという意識は低い。国民は動員される受動的存在であり、軍事に精通するべきは軍務に携わる者のみ……。そんな意識が主権者となって幾年も経った国民を今も支配している。

 

我々、日本国民が平和を願い、そして歴史の教訓から導き出されたシビリアン・コントロールを完全に機能させるためには、文民の軍事知識であるシビリアン・アウェアネスの向上が必須事項である戦いの歴史を理解することができなければ平和を語ることすらできないだろう。

 

とは言え、莫大な軍事情報の集合体である戦史を一手に理解することは甚だ困難である。

そこで、軍事に関する議論を行うべき場所を開き、これまで人類が残してきた戦いの歴史を考える機会を設けることを目的として当研究会を設立する。

 

2014年12月

(戦史研究会へ改称したため一部改編)